才能がないと言われて、傷ついたことがある人へ②
私のブログでもたびたび登場する「才能」という言葉ですが、抽象性が高いので人や状況によって定義が大きく異なります。
では先天的な能力を才能と定義しましたが、今回は、「所属する集団との相性によって生じる現象」を才能と定義してお話します。
前回同様、皆さまに成長する楽しみを知って頂くことが目的です。
▪️成長マインドセット
モチベーション研究のパイオニアとして知られるスタンフォード大学キャロル・S・ドゥエック教授によると、マインドセットは「成長型」と「固定型」の2種類に大別されます。
引用:リンク切れ
▼成長マインドセット
「自分の能力は努力によって改善していくことができる」という考え方です。
▼固定マインドセット
「自分の才能、資質、性格は持って生まれたもので、変えることはできない」という考え方です。
基本的には、成長マインドセットの考え方がよいと考えます。理由は、今回の記事を一番下まで読めば理解できると思います!
▼マインドセットの補足
上記で固定マインドセットは、生まれ持ったものを変えることはできない、という考え方と記載されています。しかし、後天的なものであっても、スキャモンの成長曲線から導き出されるゴールデンエイジの考え方(簡単に言えば12歳までに運動神経がある程度確立するという考え方)のように、
「特定の期間に運動しなかったから、今からではもう遅いんだ」
という合理的な主張も、これだけだと固定マインドセットであると私は解釈します。ここに
「それでも、今からできることはある!」
と考えることが重要です。(ただし時間は有限なので、自分の納得のいく選択をする必要はありますね。)
▪️神経可塑性(ニューロプラスティシティ)
昔は人間の脳細胞は年と共に減ると考えられてきましたが、今では脳を使うことで特定の領域が増えるという神経可塑性(ニューロプラスティシティ)が確認されています。
運転に関しても、成長を意識して練習することで、空間認知能力が向上することが確認されています。
自動車教習所の学科では、適正検査の結果から向き不向きを判断することを教えていますが、適正検査の結果は変化するということ『も』念頭に置く必要もあると、解説するべきだと主張します。
▪️学習転移について(前回のブログの補足)
才能がないといわれて、傷ついたことがある人へ① - スマイルドーナッツの雑記
では『成長の速さは、対象の物事に必要な、知識や経験に、大きく依存するということ』という言葉を使っていましたが、これを学習転移と言います。
学習転移には、先行する学習Aがその後の学習Bを促進するという“正の転移(positive transfer)”と、その逆に妨害となる“負の転移(negative transfer)”とがある。 それぞれの学習の間に同一の要素が多いか、類似性が高いほど転移の程度は高くなる。
引用:wiki
以下に学習転移の例を示します。
▼例① 正の転移(positive transfer)
英語を習得した人は、フランス語ドイツ語の習得が早くなる。これは学習の間に、同一の要素が多く、類似性が高いため。
▼例② 転移が薄い場合
チェスを習得した人の論理的思考能力に、相関性はなかった。チェス盤上ではパターンの認知が可能だが、チェス盤を離れるとパターンの対象外になる。
前回の記事で主張した、色んなことに挑戦すればするほど、成長が速くなるとはこの事です。成長マインドセットがいかに重要か、もう理解できたと思います!笑
▪️成長の速度を早める共通の要素
成長の速度を早める共通の要素は、ワーキングメモリであると報告されています。先天的な大きさで全てが決まると思っている方もいますが、環境因子によるメモリー圧迫やマルチタスク、外傷、認知特性の不一致など、例外が数多くあります。
またワーキングメモリーを強化することも可能と言われています。(これについては否定意見も散見されます。)
▼楽しいことをイメージ
楽しいことをイメージすることで、吻側前部帯状回の領域が拡大し、メモリの強化に繋がる可能性が示唆されています。
▼脳トレ
篠原菊紀・諏訪東京理科大学教授のデュアルタスク(運動作業と知的作業)、DAIGOさんのDNBアプリ、ストックホルムのターケル・クリングバーグの数字記憶(大脳皮質のドーパミンD1受容体の密度が変化)などが比較的有名だと思います。
また、強化とまではいかなくとも、マインドフルネスや外部記憶(メモ)などで解放することにより、メモリの圧迫を防ぐことはできます。
▪️WAISについて
WAISについては勉強不足なので、引き続き記事として書き起こす予定です。現状の見解を下記に記載します。
WAISは個人の能力を総合的に測定するものではなく、個人の情報処理能力の一部を測定するものです。IQの平均は100として、標準偏差は15です。約2/3程度の成人IQは85~115の範囲に含まれます。WAISの数値はちょっとした環境の違いで、簡単に10くらいは変動することもあることから、測定誤差が大きく、傾向をつかむ程度の検査であると考えます。
▪️目標達成のために楽しみましょう!
多くの人が思うことだと思いますが、ある程度の年まで色んなことやってると、適当に新しいことを始めるだけでも、学習転移における「同一の要素」と「類似性」は簡単に見つけることができます。
流動性知性依存の能力は年取ると鈍るかもしれませんが、結晶性知性依存の能力は、雪ダルマみたいにどんどん大きくなります。
また、マズロー欲求5段階仮説では、高次の欲求として「自分の能力を発揮して創造的な活動を行うこと」を自己実現欲と定義しました。
マズローは、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである。」と述べています。
現状の内側に目を向けて、自分の限界を設定してしまうと、成長そのものが伸び悩んでしまいます。大事なのは、現状の外側にある自己実現に目を向けて、自分なりの工夫と努力をすることです。
カルトによって生じるテロリズムの思想は、便宜上、許してはいけない
私はカルトの専門家ではありませんが、オウムの地下鉄サリン事件による影響を大きく受けて育ち、その危険性を深く認識しています。今回はカルトの本質について、オウムの例を挙げながら、危ういところまで迫ります。
▪️宗教ビジネスのマーケティング
オウムを筆頭に新興宗教ブームとは、物質的に満たされた若者が、精神の充足を求めて入信していった側面があります。これらをマーケティングの観点から紐解きます。
▼商品を作ってから人を集めるマーケティング
従来のマーケティングでは、顕在化した悩みを解決する商品を作ることが基本でしたが、物質的に満たされた若者にとっては、その悩みを言語化することが難しかった。
▼人を集めてから商品を提案するマーケティング
このため新興宗教のビジネスにおいては、潜在的な心の声に響く理念により、言語化できない悩みの声を広い、共感によって若者を集めることに成功しました。これらは現代の情報社会のマーケティングの基本でもあります。
▪️オウム真理教は本気だった
オウムはサンスクリット語とパーリ語の経典を翻訳し、学んでいたと聞きます。昔の討論番組を見る限り、麻原は経典を中心に、論理を展開しており、その知識は驚くほど深かった。この献身的な有り方こそが問題で、多くの高学歴の若者は洗脳された可能性があります。
現代の私たちから見れば、経典の身勝手な曲解は明らかですが、当時は情報も少ないため、曲解の指摘が難しかったと考えます。
▪️宗教ビジネスが差別的な輪廻転生を肯定することの危険性
釈迦は宗教界隈の中では比較的、科学における再現性を重視している思想を持っていると考えます。再現性がアートマン(真我)を雲隠れさせている可能性もありますが、今を生きる上では、差別主義の輪廻転生は否定するのが合理的です。
・アートマン(真我)
ヴェーダの宗教に用いられ、意識の内側にある個の根元である。唯我説の主張とも言える。
ビンドゥー教における宇宙の根本原理であり、支配者でもある。
ブラフマンと合一しない限り、アートマンは半永続的であると唱える説は有名です。アートマンはバラモン教からビンドゥー教に踏襲された教えで、仏教の元となる釈迦はこれを部分的に否定していると解釈します。(厳密には意見が割れるところです。)
仏教における涅槃寂静の世界とは、輪廻転生から解き放たれた先にあるものです。あらゆる執着から解き放たれれば、生まれ変わる必要もないし、無となることができます。もちろんそこに愛はありません。
しかしオウムでは、麻原の魂は高いレベルであると発言していたように、差別的な輪廻転生による生まれ変わりを肯定していました。
差別的な輪廻転生の肯定は、宗教ビジネスにおいて、なくてはならない存在です。しかしこれがテロリズムのように、取り返しのつかない不幸を生んでいるという事実があります。
幸せになりたくない不幸な人のなかには、来世で幸せになるために、進んで不幸に進む人もいます。
原理主義過激派が、テロで特攻して命を落とすのは正義であり、来世で救われるためでもあります。
▪️洗脳に使われる催眠のシステム
様々なカルトで洗脳は行われておりますが、そこには共通した催眠術のシステムがあります。
本来は五感からの情報を意識に反映させるのにたいして、催眠術では、五感からの情報を遮断して記憶からの情報を意識に反映させます。五感からの情報遮断したら、催眠術者の声聞こえないと思う人も多いですが、『聴覚が機能している』と、『声が聞こえる』は違うものです。
例えば猫の声が聞こえたとします。日本人はこれを「ニャー」と表現しますが、
英語(米語)「mew(ミュー)」
韓国語「야옹(yaong/ヤオン)」
というように国によって異なります。実際には猫の鳴き声は、人の声として作り出された表現にすぎません。
これらの表現は、猫の声のような特定の音声情報がトリガーとなり、記憶の中にある音声情報を呼び出し、内部表現に出力しています。「ニャー」とは記憶の中にある言語表現なのです。
催眠の技術では、トリガーとなる言葉を選択し、被験者の記憶の中にある情報を呼び出します。また、単位時間辺りのトリガーの数を増やすことなどで、被験者を誘導して変性意識状態にすることができます。
洗脳のシステムは、様々な業界で意図的に隠されています。オウムを筆頭にこれらの技術を使い、弱者からの搾取が行われている現状は悲しいと感じます。
以下に洗脳に使われる危険性の高い情報を記載します。
▼自己催眠の万能性
自己催眠は実質的な瞑想状態とも言えます。マインドフルネス、禅、ヨガなどの技術には変性意識状態を作り出すものがあります。
エンタメの世界では、ゾーンという名の変性意識に入り込み、客もそのゾーンに巻き込むことは有名です。余談ですが、マジシャンにはこれらを戦略的に作り出す方もいます。
▼変性意識と薬物
ドーパミンのA8~16神経のなかで、報酬系の中枢であるA10神経は有名です。これによりドーパミンが放出され過ぎると、変性意識に似た分裂症状をこおすことがあります。
例えば覚せい剤(アンフェタミン、メタンフェタミン)は、ドーパミンと類似の構造を持ちながら、再取り込み阻害という性質を持ちます。これらの薬物の投与により、変性意識を生み出すことができる可能性が高まるのは、容易に想像できるでしょう。
オウムは覚せい剤や幻覚剤のLSD(lysergic acid diethylamide)を使っていたという噂をききます。
▪️テロリズムの思想は便宜上許さないということ
カルトや原理主義によって生じるテロリズムは、多くの人を悲しませます。日本は法治国家であり、憲法20条でも信教の自由はありますが、テロリズムの思想は、便宜上、許してはいけません。
誰もが生きやすい世の中を作るために
今回は、社会全体を良くするための考え方や方法論について、紹介していきます。
▪️社会における学問の必要性
基本的に社会集団の中の知識は、ホメオスタシス(生体恒常性)によって、更新することを妨げる方向に働きます。更新することを止めた社会集団には、致命的な衰退がもたらされることがあります。
例えば、会社の上司にExcelで計算した書類を提出したとき「Excelは信用できない、電卓で再確認しろ」ということがあっても、上司はExcelが信用できない理由を説明できないことがあります。
学問の本質は研究ですので、最新の知識は更新を促す方向に働きます。
▪️囚人のジレンマ
各個人が合理的に選択した結果(ナッシュ均衡)が社会全体にとって望ましい結果(パレート最適)にならないので、社会的ジレンマとも呼ばれる。
引用:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/囚人のジレンマ
みんながゲーム全体の空気読んで損しないように仕向けること。実はこれこそが、個人の利益の優先で、社会全体が貧しくなる行動とも言えます。ただし特定の情報を収集、選別し共有して社会を維持するため、個人の利益を優先することは必要です。
▪️ピーターの法則
能力主義の階層社会では、自己の能力を発展させ続けなければ、組織は無能な人材で埋め尽くされ衰退します。そのメカニズムとしてピーターの法則が挙げられます。この法則は以下3つの要素にまとめられます。
・能力主義の階層社会において、人間は能力の限界まで出世すると無能な管理職になる。
・無能な人材はそのままの地位に落ち着き、有能な人材は出世して無能な管理職の地位に落ち着く。その結果、どの階層においても無能な人材で埋め尽くされる。
・組織の仕事は、出世する余地のある無能に達していない人材によって行われる。
引用:https://bizhint.jp/keyword/
末端で優秀な人間が、管理職として優秀とは限りません。
簡単に解決策を述べるなら、
・優秀に見られることよりも、能力が発揮できることを優先する。
・ハロー効果のような認知バイアスに注意して、能力を見極める。
上記2点が必要だと考えます。
▪️コーチングにおけるゴール設定
前述のように人間にはホメオスタシス(生体恒常性)が働くので、居心地のいい現状(コンフォートゾーン)に留まろうとします。ですが現状の枠にとどまり続けることは、前述のように個人だけでなく、社会全体の衰退を意味します。
そこで必要なのが、適切なゴール設定です。現状の外側に設定し、抽象性を高くすることで、矛盾しにくくなります。
例えば私のスマイルドーナッツという名前は、「世界中に笑顔の輪を広げる」というゴール設定でもあります。
フィクションの小説や映画と同様に、ゴールにも臨場感を感じることができます。私たちはこのゴールに引っ張られることで、成長が促されます。
注意しなければならないのは、現状に留まらせようとする邪魔者です。これをコーチング用語でドリームキラーといいます。
「あなたのため~」とかいいながら近づいてくる善意のドリームキラーには注意が必要です。「この志望校は君の成績だと無理」というように、一見合理的な主張も相手にしてはいけません。
また、もし知らずの内に自分がドリームキラーになっていたなら、考え方の1つとしてインプットすることをお勧めします。
▪️最後に
私の目標は、誰もが生きやすい世の中を作ることです。ある種のコミニタリアン的な思想ですが、美徳を中心とした正義とはなにか。そこにあるどうしよもないジレンマを抱えながら考え、未来へ向けた共生を目標とすることが重要だと考えています。
ADHDは天才なのか②
前回のADHDの記事が人気でしたので、便宜上はADHDの天才性について語りますが、多くの方に通じる話です。
▪️ADHDを他の障害と同じフィールドで語るということ。
発達障害は器質的な判断が難しく、障害を区分するのは無理がある場合もあります。このため最近は、ASやADHD(不注意性、多動性、衝動性)を厳密に区分せず、混合型と判断されるケースが増えてきました。
この一例のように、C-PTSD(複雑性トラウマ)や気分障害などの二次障害についても、ADHDだけが原因の元ではなく、むしろC-PTSD(複雑性トラウマ)などにより、ADHD様症状が引き起こされることもあると、考える必要があります。
トラウマ(特にC-PTSD)により引き起こされた『回避、フラッシュバック、パニック、過緊張』が、ワーキングメモリーを侵食することにより、『不注意性、多動性、衝動性』といった、後天的に発達障害(ADHD)様の症状を示すことがあります。これを正式な診断名ではないですが、『発達性トラウマ障害』といいます。しかしこれだと
・発達障害により、トラウマを抱えたのか?
・トラウマにより、発達障害様の症状がでているのか?
判断は難しいと言えます。
障害や精神疾病の線引きは、大変難しいことが多いです。ADHDと、ASやLD(学習障害)などの発達障害、更にはC-PTSDや気分障害を、グラデーションとして語ることは画期的な考え方になり得ます。
■天才性と創造力
天才性を創造力と結びつけて考えます。脳の抑制機能が低下すると、ネットワークは互いに過剰結合します。これによって生み出されるのが、ある種の発達障害です。例えばこの過剰結合によって音と言語の領域が結び付くと、共感覚が生まれます。
ここで創造性を2つに分けて考えてみます。
①後天的な学習によって身に着けることができる標準的な創造性
②脳の認知的な脱抑制よっておこる創造性→
・先天的な脳の認知的な脱抑制
・後天的な外傷などによる脳の認知的な脱抑制
前者①の後天的学習によって身に着けることができる標準的な創造性は、膨大な知識や技術の裏付けと、創造のための方法論によって生み出されます。
後者②の認知的脱抑制によっておこる創造性は、無意識下における自由な連想の中で生み出されます。
同じ創造性でも、生み出されるものの性質が異なることが分かりますでしょうか?前者①が認知的な脱抑制を持続させることが難しいことを考えると、後者②は天才性が高いと言えます。
天才と馬鹿は紙一重とは、このようなことをいうのではないでしょうか?
▪️天才教育
社会が求めるハードルが上がった(あるいは変化した)ことにより、教育の改革が必要になりました。近代の日本はスペシャリスト教育でしたが、ジェネラリスト教育も必要です。
教育は、0次産業ともいえるくらい替えがきかないものであるし、最も投資しなければいけないジャンルです。
例えば、オランダの有名な学校では
・宿題なし・入学試験なし・テストなし・チャイムなし・学費無料・時間割自由
など
その代わり、
・3学年合同クラス
・日々のできごと発表するサークル
・絵を並び替えて、ストーリーを論理的に説明
などの特色がある。
実際このような自発的な教育は、一人辺りのGDPや学力をみても、効を奏しているといえます。
また、ADHDのような発達障害の場合、これらの教育との相性がいい可能性が高いです。
しかし、手放しにいいと言われてるものを、採用すればいいというわけではありません。オランダ式だって日本に合うとは限りません。教育についてはテーラーメードが絶対だと考えています。
例えば、受験競争のような全体最適性の枠に収まって、勝ち抜きレースをするのが向いてる人もいます。戸塚ヨットスクールのように体罰(進歩を目的とした有形力の行使)によって成長する人もいます。
▪️ADHDが天才性を獲得するには
天才とは、時代の交差する点に立っている人とも言えます。または単純に、社会との相性によって生み出された現象、と言えるかもしれません。
最近の研究でジャンル間の融合は、個人によって産み出されることが圧倒的に多いと分かってきました。ADHDは体系化された技術を手に入れるとことができれば、脳の認知的な脱抑制を持続させることにより、天才性を上げることができるかもしれません。
▪️わたしたちができること
全ての人は、潜在的に天才性を秘めて産まれてきます。わたしたちはそれを引っ張り上げてあげることで、多くの人が活躍できる社会の実現に、近づけることができると考えます。
超能力の存在について、マジシャンの視点で語ります
74年のユリゲラー来日による超能力ブームでは、スプーン曲げに没頭する若者が現れた。
(やり方さえ分かれば誰でも曲げられるものであって、曲がらないスプーンを私は知らない笑)
80年代バブル期の新興宗教ブームでは、オウムの空中浮遊や神通力に憧れ、入信する若者が現れた。
超能力というのは人生を狂わせるほどの魅力があります。かくいう私も20年前くらいに、超能力風な手品の魅力にとりつかれて、今では職業の1つとしてマジシャンをやっているほどです。
今回はマジシャンである私の視点で、超能力の存在についてお話しします。
■超能力の定義
一般的に超能力は、科学で説明できないことを実現できる特殊な能力を指します。超心理学では、ESP(ExtraSensoryPerception)とPK(サイコキネシス)の2つが定義されています。この2つの定義は超心理学だけではなくマジック業界など、さまざまなな領域に広がりを見せています。
▪️メンタルマジックと超能力
タネをばらさず超能力であると説明すれば超能力になりますし、手品であるといえば、手品になります。
また、原理を分からずメンタルマジックが成功すれば、自分が超能力者であると勘違いすることもあるかもしれません。
このような方は心理学者の間で、シャット・アイと呼ばれています。シャット・アイは科学の進んでいない時代では、ありふれていたと考えられます。
世の中にメンタルマジックが存在せず、その原理も未知のままである場合は、メンタルマジックであったものが、超能力と定義できたかもしれません。
少なくとも、一般的な超能力の定義とは時代や環境などに簡単に左右される曖昧なものです。
▪️ESPらしきことは可能
コミュニケーションにおいてメラビアンの法則のように、半分以上は視覚情報であることを考えると、目の動き一つをとっても相手が感覚的に何を考えているのか、推し量る材料となり得ます。
例えば、EBM(根拠に基づく医療)でも、EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)のように眼球運動による脱感作は認められているし、眼球運動が行動心理において、重要な根拠となりえることは事実です。
このように、一見ESPと疑われるようなことは可能なのです。
▪️現状ESPが疑われる研究
森林浴で気持ちいいのは、フェノール類の影響と考えられてきましたが、最近の研究では非可聴域の周波が影響を与えていることが分かってきました。
20~20000Hz以上は非可聴域ですが、これらは人間の聴覚以外で受け止められており、気持ちよさに影響を与えているという仮説があります。
現状の科学では解明できていないことを考えるとこれが、超能力におけるESPといえるかもしれません。解明された瞬間に、超能力ではなくなるかもしれませんが、、
▪️超能力はあるかもしれない、しかし
科学における再現性を重要視する文化が、超能力を、雲隠れさせているという話もあります。実際、研究論文においても再現性に乏しいものは少なくありません。
実は常識や原理、根拠、人知、全てを超越した力があるのではないか?(日本語おかしいですが笑)と想像した方が楽しいかもしれません。
しかしそういった魅力を利用して、多くの人を不幸にする超能力ビジネスが蔓延る現状は悲しいものです。超能力と名前がついてないだけで、神通力、量子、引き寄せ、などに擬態していることもあります。(もちろん、神通力、量子、引き寄せを真剣に取り扱っているところもあります。)
雑な物言いをしますが、人を騙しても人を笑顔にできるのはマジシャンくらいなもんだと考えてます笑。超能力という言葉を使って、人を不幸にするやつらを許してはいけません。