スマイルドーナッツの雑記

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日本を救う経済理論を考える

今の日本の経済政策はそもそも正しいのか、素人の私には分かりません。しかし、分からないからと言って、放棄することもできませんでした。経済政策における主張の派閥として最近は、リフレ派、MMT(現代貨幣理論)の活用派が有名です。今回は2001年のアルゼンチンや2015年のギリシャなど、デフォルトの例を挙げながら、それぞれの視点で考えていきます。

■経済学のジャンル

・古典派経済学、近代経済学・・・ミクロ経済学として体系化。マーケットの自由意思を尊重する。

ケインズ経済学・・・マクロ経済学として体系化。ニューディール政策のような政府主導を尊重する。

と大別されます(マルクス経済学を除く)。まずは、ケインズ系の流れを汲む経済理論であるMMTの活用派や、リフレ派にスポットを当てながら経済政策を考えていきます。

■リフレ派的に財政破綻を考える
1980年代から「借金1000兆円、国民一人当たりに直すと800万円になる。次の世代にそのつけを回してはならない」というように借金を返すためには、増税が必要という話を財務省は繰り返してきました。

これは本当の話なのでしょうか。

政府債務残高は1024兆円(2019年3月末時点)で、その内440兆円を日銀が保有しています。簡単に言うならセブン&アイがセブンから借金するようなもので、返済の必要がないということです。親会社である政府の負債と子会社である日銀の債権は、グループ決算で相殺されます。残りの約550兆円の国債は、金融機関などが保有しており全額返済は金融機関の崩壊を意味します。
▼債権と債務の定義

債権とはある特定の人に、ある特定の行為、給付を請求することができる法定権利です。そして債務とはその反対に、ある特定の人へ、ある特定の行為、給付を提供する義務を表す言葉です。 引用:wiki

▼リフレ派からみた政府債務の限界
例えば、アルゼンチンのデフォルトは、2019年の対GDP比対外債務61.8%であることを考えます。日本の場合、政府債務の43%(2019年3月末,440兆/1024兆)は日銀です。また、政府は日銀に借金していますが、日銀は政府の子会社です。

政府債務が5000兆円になりインフレ率が1000%におよぶと問題になる可能性があります。インフレ目標2%以内で出動する場合、政府の借金が5000兆円におよぶまでに数十年かかるからです。日本銀行券を誰も受け取らなくなるほど信用が落ちた場合、日銀は破綻するかもしれませんが、現実的ではないと聞きます。

これは受け売りですが、リフレ派の計算によると、5000兆円は厳しいが、300兆は大丈夫という話があります。IMFの2018の財政モニターによると日本の準債務は0と聞きます。
これらを導きだす数式の違いがMMT活用派との違いです。高橋洋一先生いわく、MMTでは政府は自国通貨を無制限に発行できるので政府債務が増えても『問題がない』とするのに対して、リフレ派は数式モデル(①ワルラス式②統合政府③インフレ目標)に基づいていると主張しております。
https://diamond.jp/articles/amp/202487?page=2
しかしMMT理論活用派の方が、前提なしで『問題ない』と主張しているところを、日本では見たことがありません。

■リフレ派とMMT活用派の違い

主張する学者の個人差はありますが、数式以外にも代表的な違いがあります。

リフレ派によると、『実質金利名目金利−予測インフレ率』から予測インフレ率を高めれば、実質金利が下がりデフレ脱却が可能と考えられてきました。

その点、一般的なMMT活用派の前提は、デフレーションGDPデフレギャップを解消することを重視します。方法は、インフレ率2%の金融緩和と、財政出動をセットにしたパッケージです。ここが金融緩和を重視するリフレ派との違いです。

財政破綻MMT的に考える

財政破綻を日本国債のデフォルトと定義する場合、通常の運営で破綻しないと考えます。基本的にデフォルトは、ブラジルやアルゼンチンのように対外債務によっておこります。

例えば、ユーロを発行できるのは、欧州中央銀行です。日本は「自国通貨建て」なので、「ユーロ建て」のギリシャと同じように考えることはできません。また、日本は対内債務がメインで、円は変動相場制であるため、デフォルトは考えにくいです。以下に理由を示します。

①対外純債権国であるため・・・負債残高も増加していますが、資産残高ほどではありません。
②経常収支が黒字であるため・・・「国は赤字」でも「経常収支は黒字」と言えます。 

③政府の発行する国債が円建てであるため

MMTでよく聞く話の箇条書き

・デフレは貨幣現象ではなく総需要の不足と考える ・金を無限に刷れるのではなく物価目標2%にする ・現在は金本位制度ではない ・インフレは20年以上おこっていない ・貸借対照表(バランスシート)のように、負債と債権は一致する ・負債が増える度に破綻すると言われ続けているが、実際には破綻していない

また、信用問題について考えます。日本は税金を円で徴収しております。このため、30年前と比較し膨れあがった国債発行残高をみても、円以外を使わないと思います。

ハイパーインフレについて

一般的に、主要中央銀行の独立性により、インフレ率2%のような物価の安定を目指し、自行の財務基盤の健全性を維持する金融政策を行っていると考えられています。このことからハイパーインフレは、基本的にはおこらないと思います。しかしその一般論が覆る可能性がありますので、後述します。

▼有名なハイパーインフレの定義

①フィリップ・ケーガンの定義ではインフレ率が毎月50%を超えること。すなわち1年後の物価が129.75倍になる場合
国際会計基準の定義では、3年間で累積100%以上の物価上昇になる場合

基本的にハイパーインフレは戦後の生産手段、インフラ、船・建物の破壊や、敗戦賠償による通貨信用の失墜、経済制裁による国内の物資不足、経済市場の信認の失墜のような極端なケースがほとんどです。戦後の先進国において、財政赤字の拡大によるハイパーインフレはありません。

日本の国債発行による戦後インフレも同様で、コロナの場合は生産手段以外は戦後ほどではないので、財政出動はインフレ率をコントロールすればハイパーインフレがおこる可能性は低いと思います。コロナ前の国債発行による日銀の国債買い取りでも、インフレはあまりおこりませんでした。国債発行しても国民の購買意欲は上がらず経済の循環がおこらないと、インフレはおこりにくいと考えます。

▼考えられる可能性

あくまで可能性ですが、

①政府が意図的に物価を100~1000倍にして、1000兆円の債務を相対的に下げる可能性は、今の財務省だと考えにくい。
②日銀が通貨を発行して円が暴落した場合の円信用を考える。今はコロナ後の回復が円ドルユーロの信用へ大きく関わる可能性が高い。

GDPデフレーター

そもそもGDPデフレーター(名目GDP/実質GDP×100)が民主党時代の100%以下から、2019年で103.3%になりデフレを脱却している、という話を聞いたことがあります。

個人的には言い過ぎに思えますが。2009年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2020年のコロナパンデミックなど、現実の事象とGDPデフレーターの関連性を追うことで、政策の評価がより詳細になると思います。引き続き調査していきます。

■そもそも政府の財政出動とは

個人の視点では、収入単位でお金がなければ節約することが正しいと思います。しかし国や企業などのマクロ単位で見たら、投資・消費が収入となります。最初の消費のためのお金はどこから生まれるかを考えます。

国債発行で、政府が市中銀行から日銀当座預金を借りる
②政府が政府小切手で支出する
③政府小切手が市中銀行に持ち込まれ、銀行預金が発行される
市中銀行が政府小切手を日銀に持ち込み、新たな日銀当座預金が発行される 引用:

というプロセスを辿ります。このように国が財政出動を行い、税で取り立ててお金を還流させます。

■リフレ派やMMT活用派の前提が崩れる可能性

積極財政派と緊縮財政派という二項対立ではなく、そもそも貨幣の介入のみで、根本原因に向き合うことは難しいという指摘があります。債務が膨張しても、経済は成長していないことがあります。お金を刷るよりもお金自体は世に溢れているから、相対的貧困層に分配することが重要かもしれません。そもそも論でいうなら、産業構造の斬新的な改革が必要です。また、
①緊縮は、金融政策や民間債務の膨張(リフレ)など、マーケットの資金流入の増加は歓迎する
②積極は、国家による債務の膨張を歓迎する
これら2つは中央銀行の介入を加速させます。最初に、主要中央銀行の独立性により、インフレ率2%のような物価の安定を目指し、自行の財務基盤の健全性を維持する金融政策を行っており、ハイパーインフレは基本的にはおこらないと記載しました。しかしその前提が覆る可能性を考えます。

投資と金融の関係性を考えます。日銀の関与による、見せかけの株価上昇による投資の活性化など、社会の不安定化が懸念されます。日銀の30兆(2020年時点)におよぶETF買いは、金融緩和のように一部お金が分配される側面もありますが、バランスシートのさらなる悪化が懸念されます。日銀の独立性や中長期的安定性の確保をしない方向に進み、信用することが難しくなっていると感じます。

■インフレが根本解決にならない可能性

ケインズ系の経済理論でありがちな、貨幣価値の低減を人為的におこすことで、むしろ格差を広げる可能性を考えます。インフレ率のコントロールで、平均資本収益を低減させるという話を聞きます。しかし平均資産価格は、消費者物価に比例する傾向が歴史的にみられます。富裕層は財務管理によって資産のリスクヘッジが可能なため、相対的にダメージを受けないことがあります。

■最後に
現政府はプライマリーバランス黒字化目標に向けて動いています。 しかし今のところは、理論的に否定することも肯定することもできていません。まだまだ勉強不足を痛感します。

現状、緊縮財政中に GDPデフレーター(名目GDP/実質GDP×100)1.5%と名目GDP3.5%成長を同時に達成するための方法は『借金をしてでも投資する国民』に期待する以外、推測できていません。

最近の例では、コロナ前の10万給付マクロモデルですが、1年連続(10万×1.2億×12)の月10万給付でも物価上昇率は1.215、2年で1.436、3年で1.809、4年で1.751という算出もあります。コロナ下においての政策では、個人への給付や、中小企業の粗利分の損失補償など、弱者救済が良いと考えています。

現状の日本は、市場原理主義的な意味の新自由主義・リバタリアリズムに、傾いていると推測します。日本は民主主義国でもあるので、国民一人一人が正しい経済政策とはなにかを考えていくことが重要です。