熱力学第二法則の「乱雑さ」を哲学的な見地で考える
皆さんが楽しむ娯楽の中でも、特に馴染み深い、熱力学第二法則における「乱雑さ」を、哲学的な見地で考えます。わたしもよく分からないので、一緒に考えていけたらと思います。
▪️第二法則の簡易解説
ΔH>0(吸熱)で自発的(変化を起こすのに仕事を必要としない)に起こる反応の方向を、指し示すのが熱力学第二法則です。
さて、自発的変化の原動力は「物質とエネルギーを乱雑に分散される傾向」であるとされています。この乱雑に分散する度合いをエントロピーと呼びます。
言い換えると、エントロピーは示量性の状態関数で、乱雑さの指標となる『関数』です。
第二法則を定量的にするため定義すると、
ΔS(エントロピー)=qrev(可逆過程において系に与えられた熱)/T(絶対温度)
また、証明は割愛しますが、
「孤立系において、自発的変化は不可逆であり、エントロピーは増大する」とも言えます。
熱力学第二法則は、有名なクラジウスの原理の他に、トムソン(ケルビン)の原理・オストワルドの原理など、様々な表現がされます。
その本質はどれも同値だと考えると、理解が進むと思います。
▪️哲学と乱雑さ
ここで哲学的な見地を取り入れ、乱雑さについて考えます。あえて熱力学の用語を、誤用しますがご理解下さい。
よくある例えとして、「部屋が勝手に汚くなることはあっても、勝手に綺麗になることはない。」ことから
・部屋が汚いのは乱雑さが高い(高ΔS)
・部屋が綺麗なのは乱雑さが低い(低ΔS)
これを熱力学第二法則とする、という表現を見たことがありますが、哲学的に吟味する必要があると考えます。
・一見部屋が汚いが、誰かにとっては意図的に整列されたものである。
のように、部屋が汚くても乱雑さが低い場合があります。
「部屋が汚いものは乱雑である」とは、人が定義したにものに過ぎません。ほとんど屁理屈のようであっても乱雑さの逆転が起こる場合、エントロピー(ΔS)の増大に寄与していない可能性があります。
▪️創作におけるエントロピー
エントロピー(entropy)は日本語で、「乱雑さ、無秩序、不確定性」と表現されます。
創作の世界では、「断熱系においてエントロピーは常に増大すると、熱的死を迎える」と言ったように、言葉自体は正しく使われることがあります(具体的な作品名は忘れました笑)。
しかしそれを宇宙まで広げると、話は難解になります。
創作のよくある話では、エネルギーを使うことでエネルギーが使えなくなり、それを復元するために、より多くのエネルギーを必要とするため、エントロピーは増大する、と表現されます。しかし、繰り返しになりますが、『使えないエネルギー』とは人が定義したものです。
また、古典物理におけるエネルギー保存の法則の見地では、誤りの可能性があります。
▪️エネルギー保存の法則について
エネルギー保存の法則とは「孤立系のエネルギーの総量は変化しない」というものです。特に熱力学においては、熱力学第一法則(ΔU = Q + W)とされます 。
かつて自発的な変化は、全てがΔH<0(発熱)と考えられてきました。前述のように、それは誤りです。熱力学第二法則は、ΔH>0(吸熱)の自発的におこる反応の方向を指し示します。
▪️わたしもよく分からない
このテーマにつきましては、更に理解が進んだら書き加えていきます。
今回このような記事を書いたのは、カルトや適当な創作のように、人の都合のいい解釈によって、学問がビジネスに使われている現状を、恐ろしいと感じたからです。
熱力学もそうですが、量子力学はあまりに悲惨です。学問は学問をするために、あるべきだと主張します。