AIと人の心の関係性を考えるということ
黒人には人の心が宿っていないという理由で、黒人差別がおこなわれた過去もあります。アメリカ社会でトランプが当選したのにも、そう言った差別思想の名残が影響を与えたことも考えられます。
私たちは人の心のありかたについて、考えざるを得ない時代がきていると予見します。
AIについて考えることは、人の心について考えることにも繋がります。まずは チューニングテスト・中国語の部屋という2つの思考実験から、人の心とはなんなのかを紐解いていこうと思います。
■チューニングテストと中国語の部屋の概説
▼チューニングテストとは
・検証
AI(機械)が本物の人間と大差ないほどに会話できるかのテストを行う
・結果
人間がAIと人間を判別できない場合、機械は思考をしていると判別する。
▼中国語の部屋とは
・中国語の部屋の中
中国語のわからない人+中国語カードの入った箱と中国語カード完全対応マニュアル
・検証
部屋の外から中国語の質問を受け取り、中国語カード完全対応マニュアルに従い、部屋の外に中国語のカードを返す。
・結果
中国語がわからないにもかかわらず、中国語によるコミュニケーションを成立させており、部屋の外からは中国語のわからない人が、中国語を理解しているように見える。
知ってる人は多いので、かなり簡潔に書きましたが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
▪️クオリアと思考実験
クオリアという言葉は有名なので、ご存知の方も多いと思います。クオリアとは、意識に含まれる質感のようなもので、大変抽象度が高い概念です。今回は便宜上、意識の様なものだと定義します。
チューニングテスト→機械やAIにもクオリアはある。
中国語の部屋→チューニングテストでは、AI(機械)にクオリアがあると証明できない。
多くの方は、部屋全体が中国語を理解してるといえると考えます。器質的な学問領域でも、クオリアの生じ方が解明されていないので、部屋全体=人の脳と考えがちです。
しかし意味論的な見地では、中国語をわからない人が、中国語カード完全対応マニュアルを使っても、中国語を理解しているとは言えません。理解の段階で、クオリアが生じているとすれば、部屋全体にはクオリアが生じていないと考えます。
▪️情報と人の心
人はそもそもなぜ意識を獲得したのか。そこで情報処理になぜ心が必要なのかを考えます。
人はAIのような単純暗記(意味記憶)から、情報を引き出すことが苦手です。そこで物事をストーリーとして記憶するエピソード記憶がありますが、これを作り出すために意識が作り出されたのではないかと考える仮説があります。(受動意識仮説)
エピソード記憶には感情によるラベル付けがされます。情報処理上なんらかのメリットがあれば、AIにも心が宿る可能性が考えられます。(現実では可能性が低いとする学説もあります。)
▪️AI時代で人の心のあり方はどうなっていくのか
現状、宗教でしかなしえなかった人の心のあり方を、科学が解明することができるのでしょうか。解明できたとしても、そういった唯物的な理論はそう簡単に受け入れられることはないでしょう。
私たちの全てが情報処理の演算で説明できるとしたら、生まれ変わり(輪廻転生)というのも、釈迦がしたように簡単に否定されてしまうかもしれません。
今の自分自身を規定しているのは、可能性ではなく不可能性です。多くの人が何ものにもなれないことを認めざるを得ない時代は、今よりも薄暗いと思います。だからこそ、AIが多くの人を救うことになるよう、みなさんも一緒にAIと人の心について考えていきましょう。